【コラム】息子へのクリスマスプレゼントはルンバだった。

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息子(当時3歳)をケーズデンキへ連れていったんです。
 
そこに、ルンバの実演スペースがあったんですよ。あの、よくあるじゃないですか。柵があって、ルンバの放し飼いみたいなやつ。
障害物をよけながら、くるくる移動して、床に撒かれたゴミを吸い込んでいく。ゴミって言っても、偽のゴミだから、こう、なんか、色紙を切ったような、綺麗なゴミなんだけど。あんな吸いやすくて綺麗なゴミ、現実には無いですからね。もっとさあ、カッピカピの食パンの欠片とか、髪の毛と綿埃が複雑に結合したやつとか、現実の敵はそういう奴らですから。そういうのを置いたほうが「あら、こんな大きなゴミも吸えるのね」みたいな、リアルが分かって良いんじゃないか。展示用のカッピカピの食パン片が欲しければ我が家に取りにくるといいですよ。子供の椅子の下にたくさんあります。自由に持って行っていいよ。
 
ゴミの話はいいんですけど、そう、その、ルンバの前で、息子が動かなくなって。うちの息子の心が吸われてしまって。まあ、あんな動いてるやつ、楽しいですよね。楽しいですよ。
ゴミを手で拾って「ルンバ、食べるかな?」みたいなことしたり。ヤギかよ。あとは隣から違うロボット掃除機持ってきて同時にスイッチ入れて戦わせたり。お掃除ロボット大戦ですね。
んでまあ、2時間くらい粘りましたかね。その日は、そのまま帰ったんですけども。
 
それからというもの、息子がルンバルンバ言うようになりまして。毎週日曜はケーズデンキ。雨でもカッパを着て、ルンバに餌をやりにでかけました。あと、家にAmazonの箱が届くたびに「それルンバ?」って言う。「残念〜晴れ茶の大人買いでした〜」みたいなことを繰り返しているうちに、あれ、本気で欲しいんだな、と。
うちの息子がね、なんかモノ欲しいって言うの、殆ど無いんですよ。普段は、いろいろな電車のドアに挟まれる手の張り紙の違いや、いろいろな施設にあるトイレの流れる穴の形状の違いについて考えたりしている、そういう子なので、なんかのおもちゃ欲しい、みたいなことをあまり言わない。
だからまあ、そんなに欲しいのか、ってなるじゃないですか。
 
ところで、息子がルンバルンバ言い出す前に、妻と「ルンバ、あったら良いよね」みたいな話をしていたのでした。
外出中に掃除機が勝手に稼働するってのは、よく考えるとすごい未来。家政婦さんを雇うようなもんですよ。
ちなみに、子育て中の家庭向けに家政婦さんを派遣するサービス、みたいなのがあって、大体相場は2時間5000〜7000円、週1利用2万程度だと思うんですが、それと比較すると、ルンバの買い切り4〜6万円ってのは、お得感がある。もっとも、ルンバは窓拭きやふとん干しや梅干し漬けなどをしてくれないので、家政婦さんと比較できるものでは無いのだけれど。ルンバに梅干し漬けられる日が来るんだろうか。あいつ手、汚いからなー。
 
まあ、妻とそんな話をしておりまして、買っても良いけど、別に無くても死なないしな〜みたいな膠着状態の戦況だったところに突然息子が参戦しまして、買う買う軍が圧倒的優位に。
ちょうど、クレジットカードのポイントが、貯めに貯めて6万円分くらいあったんですよ。まあ、使うなら今かな、みたいな感じで、購入することになりました。
 
あ、あと、クリスマス近かったんで、クリスマスプレゼントっていう名目も追加しました。子供へのクリスマスプレゼントって毎年すっごい悩むんですよ。
あ、で、そう、ルンバ買うんで、今年はこれで良いだろ、って。
 
すごくない? 息子の欲しいものと、家庭の課題と、クリスマスプレゼント決めなきゃ、という3つの問題を一気に解決。しかも0円で。この手腕。社会起業家ってこういうことじゃないの? 違うの。そうですか。
 
そんなこんなで、我が家にお迎えしたんですよ。ルンバさん。
 
そしたらさあ、息子が、ルンバになってしまった。えっとねえ、多分、息子にとって、あの夢にまで見たルンバさんが家に来た、という体験が強烈過ぎたんでしょうね。数カ月間、ルンバになっちゃったんです。普通に歩かない。「ポポーポポー(スタート音)、ポン、ポン、ポン……ウィィィィィン!!!」と三本の指を振り、回転しながら移動する。
昔からヤバかったですけど、ほんとにヤバい奴になってしまった。しかも出す音とか仕草とか、本物に結構寄せてきている。初見で「ああ、ルンバね」ってわかるほどに。上手いな。上手いけど、えっと、君は、このままルンバとして大きくなっていくのかな? 掃除機が通える幼稚園探さなきゃなー。
 
まあ息子はいいんですよ、それで。はいはい、元気元気。
それよりも、ルンバが来てから、生活の質が明らかに向上しまして。これが本当に嬉しかった。
正直、ルンバのことをちょっとナメてるところはあった。「ランダムに掃除するだけだから時間かかるし、ゴミを取りこぼしそう。掃除機でちゃちゃっとやったほうが結果的に早くない?」みたいなことを少しだけ思っていた。
でもねえ、実際、まあ確かにちょっとゴミを取りこぼすんだけど、大部分は自動化できるわけで。そして、一旦自動化すると、昔に戻れないんですよ。
 
多分、洗濯機なんかも、普及時はそういう議論あったんじゃないかな。「あんなぐるぐる回すだけじゃ汚れ落ちないでしょ」「頑固なシミ汚れとかもあるし、手でちゃちゃっとやったほうが早いって」みたいな。
でも今や洗濯機は「手で洗う」という文化を忘れかけるほどに必需品になっているし、そのお陰で自由な時間は増えている。
 
話戻しますと、そう、ルンバのおかげで生活の質が向上した。すると、なんか、人間って、この感動をシェアしたい、みたいな気分になるんですね。ルンバ良いわー。ルンバ良いわーってみんなに言いたい! 言いたい言いたいになってる。
と思ったのですが、ここでふと我に返る。いくら善意だとしても、ルンバに乗りながら「えー、こんにちは、わたくし、ルンバ買いまして!!」みたいなこと言いふらすの、ちょっとアレなんじゃないか。大体、善意でなんか発言しても、絶対にどっかの変な奴がそれを悪いふうに受け取るんですよ。平穏に暮らしたいならば、沈黙は金ですよ。
 
俺、仕事場が家から近いこともあって、息子の保育施設の送り迎えをやっていまして、そこのスタッフさんとかママさんとかと顔を合わせる機会が結構あるんですね。
そこで、知らないママさんなんかにうっかり「ルンバいいですよ!」なんて言ったら、あとでどんな陰口を叩かれるか分からない。
 
・え、何なの? ルンバ買った自慢? 
・うちは3年前からあるのですが。 ちなみに私の主人は年収1500万円です。
・ルンバのイントネーションがおかしい。
 
え、3つめの指摘は何なの?  もしかして正解は「おやつ」みたいな真ん中上げるイントネーションなの?
ああ恐ろしい。ママコミュニティ恐ろしい。そういうわけで、そう、少なくともそのコミュニティではルンバのこと絶対に言わないようにしようって思ったんです。
 
しかし、結果として、「あの家はルンバ買った」の報せは、一瞬にして保育施設を駆け巡った。
 
「ウィィィィィン!!!」
 
あ、この子を預けるんだった。
 
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○ヤスノリ プロフィール○
 
1997年からWebサイトを運営しているインターネットの化石です。5歳の息子と、2歳の娘が居ます。普段は、おいしいカレーはなんでおいしいのかな、とか、そういうことを考えています。
 
 
写真:ヤスノリ

文:

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