【コラム】レジの列は、どこに並ぶか問題

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いわゆるベッドタウンに住んでいるので、自分と同じタイミングで帰る人が数百人いる。そのうちの結構な数が、電車を降りてすぐのスーパーで買い物をしてから帰ることになる。

この帰宅時の激混みスーパーにおいて、どのレジに並ぶのかというのは非常に重要な選択です。
そして、その選択の優劣は可視化されています。同時期に並んだライバルが自分より速く上がるのか、まだ道半ばなのか、簡単に分かります。受験戦争よりも過酷なバトルフィールドがここにあるのです。

その日も俺は、妻からの指示どおりに「なんとか粉」みたいなよくわからん似たようなやつを3つほどカゴに入れ、さて、無数にあるレジの列、いったいどこに並ぼうか……。

ところで、レジの速さと、列の長さにあまり相関性がないことは、皆さん体感でご存知だと思います。隣の列ばかりすいすい進んだりすること、よくありますよね。
じゃあ何と関係あるかっていうと、まあ店員のスキルとかもよく言われますが、一番しっくりくるのは、列ごとの商品の総数です。商品をピッてやるのに時間がかかるのだから、商品をピッとする数が少ない列が速い、という考えです。

支払いの時間などを無視しているので一見乱暴な理屈ですが、体感として、これはわりと当たっています。
夜の時間帯は特に正確です。夜は「食材買い出しタイプ」と「弁当・晩酌タイプ」が居て、両者の品数は両極端だからです。「弁当・晩酌タイプ」の会計は一瞬で終わります。そういう人が多い列を選べば勝利は確定です。

ただねえ、この時間帯、おいしいふりかけか何かの発売日なの? っていうくらいこのスーパー混んでおりまして、列を見比べることができないんです。それぞれの列は陳列棚のほうにまで伸びておりまして、すべての列を俯瞰する術はありません。

列ごとの商品総数を比較することが不可能なこの状況。我々は、運命に身を委ねるしかないのでしょうか。

いいえ、全然問題ございません。俺レベルになると、分かるんですよ。 リキュール類の棚に一番近い列は、晩酌単品買いタイプの買い物客が多いのです。言ってしまえば当たり前ですけれども。

要は、無心で、リキュール類の近くの列へ並べばいいのです!

さて、今日もやって参りました、リキュール列。勝利は約束されています。しかし、どうも、様子がおかしい。なんか、この、ペンティアムⅡでDVD見る感じのもたつき感。 チラッとレジが見えて、ああ、出たー! 研修中バッジ! そうなんですよ。お店側もこの列がイージーモードであることは把握していて、たまに研修中のパートさんを差し込んでくるのです。 しかしですよ。よく考えて。この列は平均一人3品くらいしか持ってないんです。研修中とはいえ、ほかの列より速いはずなんですよ。今までもそうでした。どのような条件下でも、リキュール列は最強の列なのです。

ただねえ、この日の研修中の方が、本当に研修が必要な方でして、いろいろやらかすんですよ。打ち間違えてリーダーみたいな人呼んできたり。ピーピーピーピーなんかやってる。

普通の思考ならばここでこの列を見限って別の列に並び直すのですが、今思えば、そのとき俺は自分のリキュール理論に酔いしれていました。 むしろこれはチャンスだと思っていました。こんな状況においても結果的にリキュール列が最速、というところを見せつけ、みんなを驚かせるチャンス。涼しい顔で並んでいればいいのです。周りはきっとこう言い、恐れをなすでしょう。 「なにィ!? あの状況下でリキュール列に並び続け、最速でレジを抜けるだと!?なんという先見の明よ、なんという胆力よ……」

「ピーピー」

えっと、このあたりでちょっと不安になる。今日のレジ、マジでヤバイ人なんじゃ……

「ピーピー」

うおお、名門のリキュール列が、まさかほかの列に負ける?そんなことは許されない。がんばれ、がんばれリキュール。 後ろを見ると、どんどんほかの列へ移っていく人たち。おのれ、リキュールの恩を忘れたか。犬にも劣る奴らめ。大丈夫だ、俺は裏切らないぞ。

「ピーピー」

いつしか俺は、いつも勝利をもたらしてくれたこの列に、ただただ執着していたのです。

んで、俺の後ろの後ろくらいに居た人が隣の列でレジを終えているのを見たあたりで酔いが覚めて、急に恥ずかしくなって、レジ脇の乾電池をカゴに入れて、そうそう、乾電池ここの列にしか無いんだよね〜、みたいな顔をして、隣のレジに並び、要らない単3電池を買った。

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○ヤスノリ プロフィール○
1997年からWebサイトを運営しているインターネットの化石です。5歳の息子と、2歳の娘が居ます。普段は、おいしいカレーはなんでおいしいのかな、とか、そういうことを考えています。
 
写真:ヤスノリ

文:

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