2020.08.28 Fri

マンション住まいの地震対策 家具転倒の防止策と固定方法

マンション住まいの地震対策

いつ、どこで大きく揺れてもおかしくない地震大国・日本。首都直下や南海トラフなどの巨大地震を見越して、在宅避難が前提のマンション住民は何を備えればいいのでしょうか? マンション防災士の釜石 徹さんに、けがをせず、大切な命を守るためにすべきことを教えてもらいました。

もし地震で家具が
倒れてきたら……

家具が倒れたところ

住まいでの地震被害から身を守るためには、耐震性のある家に住むとともに、家具や家電の転倒・落下など、住宅内部の危険を取り除くことが重要です。万が一、地震で家具が転倒した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
「家具が倒れてドアの開閉ができないと、部屋に閉じ込められる危険性があります。冷蔵庫や本棚などが頭や胸の上に倒れてくると、重症を負う可能性がありますし、首都直下のような巨大地震では、テレビや家庭用プリンタ、電子レンジなどが飛び跳ねて、頭に当たれば大怪我をします。また、食器棚の食器が前面のガラスを破って破片が散らばると、被災生活場所を狭くします。在宅避難が前提のマンション住民にとって、これは何としても避けたいですね」

地震による家具転倒を
防止する方法

10階以上の高層階では、震度4でも家具や家電が転倒・落下する可能性があるのだそう。また、揺れ方や床や台の滑り具合によっても状況は変わってきますし、耐震性のないマンションは、より大きく揺れて死傷する可能性が高くなるのだとか。早速、家具転倒を防止する具体的な方法をチェックしていきましょう。

1.倒れにくい家具を選ぶ

食器の地震対策

「新築マンションのオプションで食器棚や創作家具を設置される方も多いと思いますが、そのような壁に備え付けられたものは転倒の心配がなく、安全性が高いと言えます。また、背の低い家具を選ぶことも大切です。より死傷のリスクを下げるためには、耐震ラッチがついた開き扉など食器の飛び出しを防げる家具、ガラス面がなくガラス飛散の心配がない家具を選ぶことをオススメします」

2.配置を工夫する

家具の地震対策

「リビングや勉強机、ベッドなど、よく座る場所や眠る場所では、飛んでくるものや落ちてくるものがないように家具や家電を配置しましょう。壁を背にした家具や家電が前方に倒れる危険性を考慮し、必ず家具や家電の高さ以上に距離をとってください。また、地震で倒れても、出入り口をふさぐことのない位置や向きに配置することも重要です」

3.家具を固定する

家具を固定する

「頭に飛んできてぶつかっても怪我をしないもの以外は、すべて固定しましょう。固定の方法は、金具を使ったり、強粘着ゲルパッドや強力接着パッドなどの家具・家電転倒防止器具を使ってできるだけ壁、天井、柱、床や既に固定されている家具などに取り付けることです。」

賃貸でもできる
家具の地震対策グッズ

家具転倒防止対策を何もしなければ、家族の誰かが死傷する可能性が高くなると釜石さんは言います。近頃は壁や床に跡や傷を付けずに転倒を防止するグッズが多数出ているので、賃貸など、金具を取り付けられない場合でも、必ず家具の地震対策をしましょう。
早速、釜石さんおすすめの地震対策グッズをチェック!

■天井や壁紙を傷つけずに設置できる突っ張り棒

◆アイリスオーヤマ『家具転倒防止伸縮棒』「食器棚やタンス、冷蔵庫などの背の高い家具や家電の転倒防止に役立ちます。取り付けや取り外しが簡単で、家具や天井に傷がつきにくい仕様です。サイズが豊富で取り付け高さによって選べるのも利点です。家具や家電上部の壁側に2本の突っ張り棒を並行に固定して使います。突っ張り棒と、次に紹介する転倒防止ストッパーを併用すると、震度6強の揺れでも大型家具が転倒しない振動実験結果があり、安心です。このため、私は2つのアイテムを組み合わせて使うことをオススメします」

■突っ張り棒とセットで使いたい転倒防止安定板

◆ニトムズ「ふんばる君」「家具や家電と床の間に挟むことで重心を後ろに移し、家具の滑り出しを防いで前に倒れにくくするストッパーです。ハサミで簡単に切れるので、家具の幅に合わせて長さを自由に調整できます。半透明なので目立ちませんし、取り付けにネジやクギが不要なのが利点です」

■ネジを使わず家具を固定する家具転倒防止器具

◆アイディールブレーン「ガムロック」シリーズ『NewBB』「突っ張り棒が使えない家具や家電の転倒防止に使います。表面の特殊なゲル状強粘着剤で、ネジや金具を使わずに、家具や家電と壁をしっかり固定。専用のリームバーを使って跡を残さず取り外すことができます。ガムロックは種類が豊富で、固定したい家具や家電によって選べます。中でもNewBBは、シリーズ最大300kg対応で、冷蔵庫や書棚など、大型家電・大型家具におすすめです。壁側に本体を貼り付け、しっかりと押し付けます。家具側の本体は、ベルトがややたるむように貼り付けます。2個セットになっているので、家電や家具の両サイドに1つずつ貼り付けてください。『NewBB』以外にも、液晶テレビ用、パソコン・プリンタ用など、用途別に揃っています」

■揺れで扉が開くのを防ぐ耐震ラッチ

◆ムラコシ精工「開き扉用耐震ラッチ PFR-TSAα(アルファ)」「食器棚やキャビネットなど、開き扉の戸内部に取り付けると地震と同時に揺れを感知して、扉が開かないようロックされます。戸の裏側と天板の下側にそれぞれ器具を噛み合わせてネジで固定します。普段は外から見えないので邪魔になりませんし、何より、食器など中のものが飛び出して床に落ちて破片が散らばるのを防ぐことができるので、ぜひ設置いただきたいですね」

マンション住まいの地震対策で最も大切なことは、第一に耐震性のあるマンションに住むことだと話す釜石さん。そして、死傷しないためには家具転倒防止は絶対に必要だと断言します。
「家具や家電の転倒防止をしていてもけがをしますが、重症になる可能性は低くなります。特に首都直下地震は緊急地震速報が鳴る前に大きな揺れの本震が来るので、家具や家電が転倒したり飛んできたりしないように固定することが何よりも重要です。また、マンション住まいの方は、地震はもちろん、どんな災害でも自宅に留まれるように備えることが大切なので、自宅篭城できる環境を確保するためにも、必ず転倒防止対策をしてください」
まずは各部屋のチェックから始め、転倒の可能性のある家具や家電は必ず固定しましょう。大切な家族と自らの命を守るために、ぜひ行動したいですね。

<プロフィール>
マンション防災士
釜石 徹さん
金融機関に勤務しながら長年防災対策の研究と減災対策普及活動に取り組んだ後、防災コンサルタントとして独立。死傷者を出さない備えや長期在宅避難の覚悟と備えに重点をおいた減災対策を展開している。

写真:

矢部ひとみ

ライター: