2020.04.03 Fri

暴風・台風到来前に やっておくべきマンション住まいの対策

春は天候が最も変動しやすい季節。台風並みの強風が吹き、豪雨、雷、ひょう、竜巻などをもたらし、大きな被害になることも。そこで、ベランダをはじめ、マンション住まいのご家庭が行いたい暴風対策を防災士の小西玲奈さんに教えてもらいました。

春の嵐が起こる原因と
近年の傾向は?

春の嵐の原因は、不安定な気圧。北から入り込んでくる冷たい空気と、南から入り込んでくる暖かい空気が日本付近でぶつかり合って上昇気流が生まれ、温帯低気圧が急速に発達し、嵐となるのだとか。
「春の嵐は被害の範囲が広がりやすく、日本列島全体に影響が及ぶ場合もあります。急激に天候が悪化し、発生の予測が難しいとされています。また、今後、地球温暖化が進むにつれて、春の嵐の発生時期が早まり、トータルの発生期間や発生回数が増え、被害が増大する可能性があると見ています」

天候悪化が予想されたら
準備したいこと

春の嵐の強風や暴風に関する防災気象情報には、気象庁が発表する「強風注意報」と「暴風警報」があります。
「強風注意報や暴風警報が発表されたときには、すでに災害リスクが高まってしまっている状態。その時点からベランダを片付けたり車を避難させたりするなどの行動を取ると、かえって危険な事態になりかねません。そのため、大荒れの天気が予想される数日~1日前、注意報や警報を出す前の『暴風に関する気象情報』が発表されたタイミングで備えを強化することをオススメします」

やっておくべき暴風対策

1.ベランダの物を
家の中にしまう

「過去に春の嵐による被害で救急搬送された人で最も多かったケースは、『転倒』です。そして二番目に多いのが、風による『飛来物や落下物にぶつかった』という被害。加害者にならないためにも、ベランダから物を撤去するようにしましょう。物干し竿や植木鉢が窓ガラスにぶつかって割れる被害を防ぐ意味合いもあります」

2.窓ガラスの
飛散防止や強化対策を行う

「強風時、マンションで一番被害に遭いやすい箇所は、窓ガラスです。割れて飛び散ったガラスは危険なだけでなく、片付けも大変です。割れた窓から雨水が室内に降り込む……そんな事態にならないためにも、窓ガラスの飛散防止や強化対策をしましょう。シャッターや雨戸があれば、それを閉めるのが一番ですが、ない場合は、次のような方法があります」

対策1.ダンボール
屋外側の窓ガラスにダンボールを養生テープやガムテープなどで貼り付け、さらに内側から養生テープもしくはガムテープを「米」の形に貼る。自分でできて低コストで済むが、窓ガラス自体の強度は上がらない。あくまで割れてしまった時にガラスが飛び散るのを防止するための方法。

対策2.飛散防止フィルム
一度度貼ればしばらく持ち、地震対策にもなるが、窓ガラスの強度はあまり上がらない。あくまで割れてしまった時にガラスが飛び散るのを防止するためのもの。
※コストがかかるが、プロに頼んだ方がベター。その方が持ちも良い。

対策3.防犯フィルム
一度貼れば、しばらく持ち地震対策にもなる。飛散防止フィルムと比較して厚みがあり、衝撃に耐える力が強い。飛散防止フィルムより高価なのがデメリット。
※コストがかかるが、プロに頼んだ方がベター。その方が持ちも良い。

3.建てつけの悪い
網戸ははずしておく

「ベランダの物干し竿や植木鉢をしまう際に、網戸のチェックもお忘れなく。建物の一番外側についている網戸は、建てつけが悪いと飛ばされる可能性があり、非常に危険です。はずして家の中に入れるようにしましょう」

4.すぐ食べられる
食料や水の備蓄をしておく

「停電でエレベーターが停まってしまったら、階段を使って何往復もしなくてはならなくなります。また、被災後は物資の買い占めが起こり、購入数に制限がつけられる場合も。そこで、すぐにお腹を満たせるものを用意しておくと安心です。『ご飯を炊いておく』『温めなくてもおいしい作り置きのおかずを作っておく』なども立派な備蓄です」

5.断水に備えて
浴槽に水を貯めておく

「マンションによっては、電動ポンプで水をくみ上げ、配水している建物もあります。その場合、停電が発生すると連動して断水が起こってしまいます。そういった事態に備えて、お風呂に水を貯めておくだけでなく、お風呂に入っておくことや、洗濯を済ませておくことも立派な対策になります。トイレも早め早めに済ませておくようにしましょう」

6.地下や機械式
駐車場の車を避難する

「地下駐車場や低い場所に駐車場がある場合は、車を避難させておくことも大切です。深夜に地下駐車場が冠水し、廃車になってしまったケースも……。機械式の駐車場は、浸水を免れても、停電で車が出せなくなることがあります。またピット内が冠水した時には感電の恐れもあります。『高い場所』『屋内』『平置き』の条件が揃った駐車場を探しておきましょう。自転車やバイクの避難や固定もお忘れなく!」

「マンションは高層階にいくほど、地上付近よりも風が強くなります。高層マンションやビルが密集する都市部で発生するビル風も、春の嵐でさらに暴風化することがあります。また、マンションは電気系統などの重要設備を地下や1階に集結させていることが多く、浸水し、停電や断水を招くリスクがあります」と語る小西さん。

耐震化が進み、地震には強いと言われるマンション。そのため災害全般に強いイメージを持たれがちですが、マンションにはマンション特有の弱点が。それに対する対策を心がけ、春の嵐に備えましょう。

暴風・台風一過に行う、水を流さないマンションのベランダ掃除

<識者プロフィール>
防災士・ ひょうご防災リーダー ・ 応急手当普及員
小西玲奈さん
危機管理室と協働で小学生の親子向け減災教室や乳幼児を子育て中のママ向けの減災セミナーを開催しているほか、これまでに2,700人以上を対象に90回以上の講演活動やワークショップを行う。一児の母。

写真:

矢部ひとみ

ライター: