衣類に使われる繊維:種類と特徴
衣類を傷めずに長く大切に着るには、衣類の素材となる繊維の種類によって、お手入れのやり方を変えることが大切です。代表的な繊維の特徴を知って、お手入れの参考にしましょう。
衣類に使われる繊維の分類
植物や動物を原料とする「天然繊維」と、化学的な合成や加工によってつくられる「化学繊維」に分かれ、その中でも様々な種類があります。それぞれ、成分や形状・構造の違いにより、独特の風合いや性質を持っています。
天然繊維:綿(コットン)
綿の特徴
綿花を原料とする植物繊維で、主成分はセルロースです。
○ 濡れても丈夫で、吸湿性・吸水性が高い。
✕ シワになりやすく、日光で黄ばみやすい。
綿のお手入れ時の留意点
- アルカリに強いため、どの洗剤でも洗える(生成りや淡色のものは蛍光剤無配合の洗剤)
- シワになりやすいので、脱水は短めに
- 耐熱性があるので、アイロンは高温でかける
天然繊維:麻
麻の特徴
植物の茎や葉を原料とする植物繊維で、主成分はセルロースです。
○ 通気性がよく涼感があり、吸水性が高い。
✕ シワになりやすく、摩擦により毛羽立ちやすい。
麻のお手入れ時の留意点
- アルカリに強いため、どの洗剤でも洗える(生成りや淡色のものは蛍光剤無配合の洗剤)
- シワになりやすいので、脱水は短めに
- 耐熱性があるので、アイロンは高温でかける
天然繊維:毛(ウール)
毛の特徴
羊毛を原料とする動物繊維で、主成分はタンパク質です。
○ 吸湿性、保湿性、保温性が高く、シワになりにくい。
✕ 濡れた状態で摩擦が加わると、縮みやすい。日光で黄ばみやすい。
毛のお手入れ時の留意点
- アルカリに弱いため、中性のおしゃれ着用洗剤で洗う
- 水に濡れると繊維同士が絡まりやすいため、手洗いなどでやさしく洗う
- 塩素系漂白剤、粉末酸素系漂白剤は使えない
- 紫外線で黄変するので、必ず陰干し
- 高温で変質するので、アイロンは中温でかける
- 虫に食われやすいので、保管時など注意が必要
天然繊維:絹(シルク)
絹の特徴
蚕の繭を原料とする動物繊維で、主成分はタンパク質です。美しい光沢をもち、肌触りがよい素材です。
○ 夏は涼しく、冬は暖かい。
✕ 濡れるとシミになりやすく、日光で黄ばみやすい。摩擦により毛羽立ちやすい。
絹のお手入れ時の留意点
- アルカリに弱いため、中性のおしゃれ着用洗剤で洗う
- 摩擦により毛羽立つと、光沢が損なわれるため、手洗いなどでやさしく洗う
- 塩素系漂白剤、粉末酸素系漂白剤は使えない
- 紫外線で黄変するので、必ず陰干し
- 高温で変質するので、アイロンは中温でかける
- 虫に食われやすいので、保管時など注意が必要
化学繊維:レーヨン・キュプラ
レーヨン・キュプラの特徴
綿の実や木材パルプから得たセルロースを原料とする再生繊維。静電気が起きにくいので、裏地によく使われています。
○ 吸湿性、吸水性が高く、すべりがよい。
✕ 濡れると縮みやすく、強度が下がる。シワになりやすい。
レーヨン・キュプラのお手入れ時の留意点
- どの洗剤でも洗える
- 水に濡れると弱くなり縮みやすいため、手洗いなどでやさしく洗う
- シワになりやすいので、脱水は短めに
- アイロンは中温でかける
化学繊維:アセテート
アセテートの特徴
木材を原料とする、半合成繊維。絹に似た光沢やしなやかさを持ち、婦人服によく使われています。
○ 適度な吸水性を持つ。
✕ 摩擦に弱い。マニキュアの除光液やシンナーに溶ける。
アセテートのお手入れ時の留意点
- アルカリに弱いため、中性のおしゃれ着用洗剤で洗う
- 塩素系漂白剤、粉末酸素系漂白剤は使えない
- 熱に弱いため、アイロンは低温でかける
化学繊維:ナイロン
ナイロンの特徴
石油などを原料とする合成繊維。摩擦や折り曲げに強いため、衣類品以外にも幅広く利用されています。
○ 吸水性が低く、乾きが早い。軽くて弾力性に富み、シワになりにくい。
✕ 静電気が起きやすい。日光で黄ばみやすい。
ナイロンのお手入れ時の留意点
- アルカリに強いため、どの洗剤でも洗える
- 塩素系漂白剤は使えない
- 紫外線で黄変するので、必ず陰干し
- 高温で溶けたりするため、アイロンは低温でかける
化学繊維:ポリエステル
ポリエステルの特徴
石油などを原料とする合成繊維。軽くて丈夫なため、幅広い用途で活用されています。
○ 吸水性が低く、シワになりにくい。軽くて丈夫で、合成繊維の中では熱や日光にも強い。
✕ 油性の汚れがつきやすく、とれにくい。
ポリエステルのお手入れ時の留意点
- アルカリに強いため、どの洗剤でも洗える
- アイロンは中温でかける
化学繊維:アクリル
アクリルの特徴
石油などを原料とする合成繊維。弾力があり、ニット類によく使われています。
○ 弾力性があり、軽くてかさ高で、保温性がある。強くて丈夫、色あせもしにくい。
✕ 熱に弱い
アクリルのお手入れ時の留意点
- アルカリに強いため、どの洗剤でも洗える
- 熱に弱いため、アイロンは低温でかける
化学繊維:ポリウレタン
ポリウレタンの特徴
石油などを原料とする合成繊維。ゴムのように弾力性があり、ストレッチ素材の原料として幅広い衣類品に使用されています。
○ 伸縮性、弾力性があり、シワになりにくい。軽くて丈夫。
✕ 熱に弱く、日光や塩素にも弱い。黄ばみやすく、経時劣化する場合がある。
ポリウレタンのお手入れ時の留意点
- アルカリに強いため、どの洗剤でも洗える
- 塩素系漂白剤は使えない
- 熱に弱いため、アイロンは低温でかける
- 紫外線に弱いため、必ず陰干し